ドルコスト平均法を超える投資法、バリュー平均法の原著 Value Averaging を読了。まずはメリデメを正しく把握しよう。

更新日:
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2014-08-12 18.39.46

MITで博士号を取得し、元NASDAQチーフエコノミストで
現モルガン・スタンレーのマイケル・エデルソン著の
Value Averaging(バリュー平均法)を読みました。


著者の略歴からお硬い本かな、と身構えてたんですが
全然そんなことなくて、僕みたいなフツーの投資家でも
無理なく読める構成で安心しました(笑)

むしろ結構面白くて最後まで一気に読了
(といっても数日かかりましたが)。


ということでいくつかのポイントについて、まとめてみます。



バリュー平均法は市場にMean Reversionの性質が無ければ意味がないのでは?

Mean Reversion(平均への回帰)とは、
暴騰、暴落のように行き過ぎた価格(overreaction)が時間と共に
あるべき価格へ収斂していく傾向のことを指しています。

ランダムウォーク仮説の場合、市場が如何に暴騰、暴落しようが、
その後の価格形成になんらの影響も及ぼしません。

一方、mean reversionがあるとすると
暴騰、暴落後の一定期間に逆方向に進むことが「期待」できます。

投資家の肌感覚としては、mean reversionがあるというのは
なんとなく納得出来ることです。

バブル相場で暴騰した後は大きく下げますし、
リーマンショックのような危機後はなんだかんだの救済措置で
値を戻すことが多い。

しかしこのmean reversion、
その存在が学術的に証明されているわけではありません。
今のところ過去のデータからmean reversionの存在が示唆されているだけです。
(mean reversionが無いと説明の付かないリターンがある、ということらしい)


で、ここでmean reversionが無ければバリュー平均法の価値が無いのでは?
という誤解をされている方もおられるようですが、実はそうではありません。

市場にmean reversionという性質が無くて、
仮にランダムウォークであったとしても
ドルコスト平均法よりバリュー平均法の方が
高い確率で好成績を収める
ことが数々のシミュレーションによって
確認されています。


個人的には、ランダムウォーク仮説は効率的市場仮説ぐらい強い
(やや学術寄りの強引な)仮説なんじゃないかと思っていますが
仮にそうだとしてもバリュー平均法の方が優れているというのは
注目に値する事実だと思います。


だったら、バリュー平均法をやらない手はありませんよね。



長期投資ではバリューパスの設計が重要

ドルコスト平均法は一定期間ごと(たとえば毎月)の
拠出額を一定にしますが、

バリュー平均法は一定期間ごとの評価額(バリュー)を設定し、
その設定評価額になるように拠出し、時には売却します。

各時点での設定評価額を時系列に並べたものをバリューパスといいますが、
バリュー平均法のパフォーマンスを高めるためには
このバリューパスの設計を入念に行なう必要があります。

バリューパスの設計は以下の式を使います。

$latex V_t = C \times t \times ( 1+R )^t $

$latex R = (r+g)/2 $


$latex V_t $:$latex t$時点での設定評価額
$latex C $:基準額
$latex t$:$latex t$番目の時点
$latex r$:期待リターン
$latex g$:想定拠出増加率


$latex V_t$は、毎月の拠出であれば$latex t$が1増えれば
1ヶ月経過後の評価額となります。

期待リターン$latex r$や、想定拠出増加率$latex g$が大きくなると
時間の経過と共に設定評価額$latex V_t$も増えますので、
一定額ずつ評価額を増やすのとは異なります。

ここで期待リターンの想定が一番難しいと思いますが、
バリューパスは途中で柔軟に再設計していいので、
そこまで心配する必要はありません。


バリューパスの設計が難しいからという理由で
バリュー平均法を敬遠するのは問題解決になっていなくて、
というのも長期投資ではドルコスト平均法であっても
拠出額を設計しなければパフォーマンスが大幅に低下してしまうからです。

著書では、ドルコスト平均法も上と同様の式で設計することが
提案されています。


その他のポイント

書きたいことはまだまだあるんですが
どうせ1記事で全部書くのは無理ですので
その他のポイントを箇条書きにしてまとめておきます。


  • 米国株式市場のデータを元に分析されていて、その他の市場ではどうかという批判は想定される。

  • 売却の可能性のあるバリュー平均法は税金の影響が大きいが、確定拠出年金など非課税口座を上手く活用する。非課税口座で全額運用する必要はなく、売却のみ非課税口座で行なうなど工夫すればいい。

  • バリュー平均法は拠出額が事前に分からないので、最大拠出額(cap)を決めても良い。むしろ最大拠出額を決めたほうがIRRが高まる事例あり。

  • バリュー平均法の投資頻度は年2~4回程度が最適

  • バリューパスは1、2年毎に見直すべき。見直した上でそのままいくという判断はあり。



全体的に読みやすい割には、非常に興味深い本でした。
やはりMITの博士出身者は違う!?

日本の投資家も、これぐらい濃い本を書けたらなぁ…
というのは自分への反省でもあります。



バリュー平均法については僕も実践予定ですので
また別記事で詳細に触れたいと思います。


ps.

努力や投資法とは無関係に、こんなに資産が変わることはご存知でしたか?


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こんにちは、林FP事務所代表の林健太郎です。ブログご訪問ありがとうございます。

工学博士(阪大)、個人投資家。投資歴は10年以上。金融機関に属さず、保険・証券の販売に一切関与しない、完全独立のファイナンシャルプランナーです。アラフォー、2児の父。

今後、日本では好むと好まざるとにかかわらず、どんどん自己責任が問われていくようになるでしょう。自助努力で資産形成していくこと、そしてその方法を中立な立場で伝えていくことが大切だと考え、独立して活動しています。

子どもにも安心して教えられる資産運用法を中心にお伝えしていますが、まだまだ「投資=難しい&ギャンブル」「投資=売買でドキドキ&忙しい」と誤解している方も多く、長期投資の考えを広めていけたらと思っています。

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