収入保障保険・所得補償保険・就業不能保険はどこが違うの?保険加入の考え方は?

こんにちは。林FP事務所です。

「保険」(ここでは民間保険)でよく聞く名前と言えば、定期保険や終身保険、医療保険、ガン保険、火災保険…などですよね。

しかし最近、タイトルのような保険の名前を目にすることも増えてきたのではないでしょうか。

収入保障保険・所得補償保険・就業不能保険

名前がよく似ていて、どこがどう違うのかとても分かりづらいですね。

今回は、こちら3種の保険の違いを解説したいと思います。また、これらの保険を検討する上でまず知っておくべきこともお伝えします。

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まず、3つの保険で共通することは?

これらの保険(所得補償保険・就業不能保険・収入保障保険)はいずれも収入が減る、無くなってしまった時にその家族の生活を維持するための商品です。収入減少時に毎月一定額を受取る事ができるのも共通する点です。

では、何が違うのか?

この3者を大きく分類するとするなら、

  • 収入保障保険
  • 所得補償保険・就業不能保険

に分けられます。

収入保障保険は、被保険者(保険の対象となっている人)が亡くなるか高度障害になった場合に、遺族等に保険金が支払われる保険です。

所得補償保険と就業不能保険は、被保険者が病気やけがで働けず、収入が得られなくなった時に本人が保険金を受け取る保険です。

つまり、保険金を受け取る場合の事由が大きく異なっているということになります。

次に、所得補償保険・就業不能保険の違いは

所得補償保険は、損害保険会社が販売している・短期補償タイプ(1~2年)と長期補償タイプ(60歳、65歳満了など)がある
就業不能保険は、生命保険会社が販売している・契約は60歳満了など(55~70歳満了が多い)
ということが挙げられます。

ではそれぞれについて詳しく見ていきましょう。

収入保障保険

先にも説明した通り、収入保障保険は、主に死亡時に保険金が年金形式で受け取れる保険です。掛け捨ての死亡保険の一種ですが、定期保険と大きな違いは、保険金の受け取りが基本的に年金形式のため、年を経るごと総受取保険金額が減っていくことでしょう。

例えば、40歳時に、60歳満了、月10万円の保険金という収入保障保険に加入した場合、

40歳で亡くなった場合の総受取保険金:10万円×12ヶ月×20年→2,400万円

59歳で亡くなった場合の総受取保険金:10万円×12ヶ月×1年→120万円
(実際の契約では支払保証期間が設けられているので、受け取りが1年のみになるケースはほとんどありません)

と、20年間の間に減っていきます。その分、保険料は抑えめになっているのが特徴です。

所得補償保険

病気やケガなどで、働けなくなった場合にその収入を補うための保険商品で、損害保険会社が販売しています。

特徴は、

  • 先にも書いた通り、短期補償タイプ(1~2年)、長期補償タイプ(60歳満了、65歳満了など)がある
  • 働いて収入を得ている方が加入できる(家事従事者が加入できる場合もある)
  • 仕事内容によって保険料が変わるケースもある
  • 保険金額は自分の収入金額内、あるいは収入額の50%や70%など、制限があること

などです。

働いている方が働けなくなった場合、会社員の方であれば、健康保険から標準報酬月額(毎月の給与相当額)の2/3にあたる傷病手当金を最長で1年6カ月間受け取ることができます。が、その間も生活費だけでなく教育費や住宅ローンなどの固定の支払いは続いていくので傷病手当金だけでは不安といった状況もあるかもしれません。

また、自営業の方は国民健康保険に傷病手当金制度がないため、より備えが必要でしょう。

注意しておきたいことには、

  • 免責期間がある(短期補償タイプでは7日、長期補償タイプでは60〜365日)
  • うつなどの精神疾患の場合は保険金支払い対象外となる場合が多い
  • 妊娠、出産により働けなくなった場合も対象外となる

などがあり、こういった点をふまえて検討することが大切です。特に精神疾患については近年増加傾向にあるため、特約を付けることで対応できるかを確認しておきましょう。

就業不能保険

就業不能保険は、先の所得補償保険と同様に病気やケガなどで、働けなくなった場合にその収入を補うための保険商品です。生命保険会社が販売しています。

所得補償保険と同じ点もありますが、異なる点もあります。特徴には、

  • 収入額によって、保険金額に制限がある場合がある
  • 契約は歳満了となっている。55歳~70歳まで5年刻みで選べる場合が多い
  • 年収100万円以下だと契約できない場合がある
  • 免責期間(支払対象外期間)は60日、180日など

などが挙げられますが、一番大きな特徴は

保険金の支払い方によって、標準タイプとハーフタイプを選ぶことができるという点でしょう。

標準タイプ:支払対象外期間が過ぎると設定した保険金額を満額受け取ることが  できる
→自営業の方など傷病手当金を受け取れない方が対象

ハーフタイプ:支払対象外期間が過ぎると、就業不能状態になった日から540日までは設定保険金額の半額を受け取ることができ、その後は満額の受給となる
半額期間があるため、保険料は標準タイプより抑えられる
→会社員の方など、傷病手当金を受け取ることができる方対象

また、就業不能保険では近年、精神疾患によって働けなくなった場合でも対象になる商品が増えてきています。所得補償保険と同じく、その点は必ずチェックし検討しましょう。

もし働けなくなったら?万が一のことがあったら?民間保険加入の前にまずは公的な保障制度をチェック

今後もしケガをしたら、病気になってしまったら…。もしもの時には…。漠然と不安に感じることは当然あるでしょう。だからと言っていきなり民間保険に加入を決めるというのは早計です。

まず、ご自分の状況で、不測の事態で働けなくなったらいくら補えれば安心なのか、そして公的な制度でではどれくらい保障されているのかを知る必要があります。そのうえで足りなければ保険でカバーするのか、貯蓄でカバーするのかといった対策を考えるのですが、その対策の選択肢の一つに民間保険があると認識しましょう。

ではここで、もし収入のある方が働けなくなった場合の公的保障を確認しておきましょう。

会社員の方の場合、病気やケガで働けなくなると、まずは有給休暇を使うことになります。

その後も働けなくなった場合は、健康保険の制度「傷病手当金」が支給されます。

≪傷病手当金≫

傷病手当金は、

  • 健康保険の被保険者が
  • 業務外の病気やけがが原因で仕事につくことができず
  • 4日以上休まなくてはいけなくなった時
  • 休んだ期間の給与の支払いがない場合に
  • 最長で1年6ヶ月

支給されます。

1日当たりの支給額は
【支給開始日の以前12ヶ月間の各標準報酬月額を平均した額】÷30日×(2/3)
で、大まかにいえば給与額の2/3が支給されると考えて良いでしょう。

詳しくはこちら↓
厚生労働省保険局・傷病手当金について(PDF)

その後も障害が残ってしまった場合や長期の療養になる場合には、障害年金(会社員の場合には障害厚生年金)を受け取ることができます。

≪障害年金≫

年金というと、65歳以上の方が受給できる老齢年金が真っ先に浮かびますが、病気やケガで障害が残ってしまった際に受給できる障害年金や身近な方が亡くなってしまった際に遺族が受け取れる遺族年金もあるのです。

障害年金は、初診日から1年6ヶ月を経過した日などに障害の状態であった場合に支給されます。

会社員の方は障害厚生年金を受給することができますが、支給額は障害の重さや家族構成、給与・賞与額などにより異なります。(下記を参照)

このように、会社員の方は働けなくなっても傷病手当金→障害年金と、ある程度の範囲ではありますが続けて給付が受けられるようになっています。

しかし自営業の方の場合、働けなくななった場合には、傷病手当金の制度はないため、障害基礎年金が受給できる1年6ヶ月間まで収入が途絶えることになってしまいます。会社員の方に比較すると、自分でできる備えを厚くする必要があるといえます。

参考までに障害基礎・障害厚生年金の金額(令和3年4月分から)はこちらです。

(参照)日本年金機構HP・障害年金(受給要件・支給開始時期・計算方法)
≪遺族年金≫

収入保障保険だけでなく終身保険、定期保険など死亡保険を検討する際にチェックしておきたいのが遺族年金の受給金額です。

遺族年金も他の年金制度と同じく、自営業など国民年金の加入者であれば遺族基礎年金、会社員など厚生年金の加入者であれば遺族厚生年金に受給できる年金が分かれます。

遺族年金の受給には受給者の要件、保険料納付要件等の適用要件がありますので、ご注意下さい。

詳しくはこちら↓
日本年金機構HP・遺族年金
で調べられますが、

遺族基礎年金は支給対象者が
死亡した者によって生計を維持されていた、

  • 子のある配偶者

  • (子とはこの場合、18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子)

と、お子さんがいることが前提となっているのに対し、

遺族厚生年金では、
死亡した者によって生計を維持されていた、

  • 子、孫(18歳到達年度の年度末を経過していない者または20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の者)
  • 55歳以上の夫、父母、祖父母(支給開始は60歳から。ただし、夫は遺族基礎年金を受給中の場合に限り、遺族厚生年金も合わせて受給できる。)

と、基礎年金よりも対象者の範囲が広いところに注意が必要です。

まとめ

今回は3つの保険の内容の違いや特徴、そして保険を検討しようとしたときに何を考えれば良いかの基礎を解説しました。

不安は誰しもありますが、まずは客観的にとらえて必要額と準備されている額、準備できそうな額を比較し、保険料と家計とのバランスを踏まえて考えていくようにしましょう!


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こんにちは、林FP事務所代表の林健太郎です。ブログご訪問ありがとうございます。

工学博士(阪大)、個人投資家。投資歴は20年近く。金融機関に属さず、保険・証券の販売に一切関与しない、完全独立のファイナンシャルプランナー(CFP®)です。アラフォー(?)、2児の父。

今後、日本では好むと好まざるとにかかわらず、どんどん自己責任が問われていくようになるでしょう。自助努力で資産形成していくこと、そしてその方法を中立な立場で伝えていくことが大切だと考え、独立して活動しています。

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