確定拠出年金の運用会社を5年単位で見直すという記事が
日経新聞に掲載されていました。
地味な記事ですが、基本的に競争を促す方向で、
投資家にとってメリットのある話です。
どれぐらいのメリットがあるのか
どれぐらい重要なことなのか
詳しく見ていきましょう。
確定拠出年金は節税メリットが大きく、
運用で老後資産を形成していくなら
利用したい口座の筆頭候補になります。
ただ、一度運営管理機関を決定してしまうと、
その後の変更がしづらく、運用商品が固定化し、
金融機関側で「顧客を囲い込まれる」という問題もあります。
これが生涯でせいぜい数万円とか、そのレベルのコストなら
別に無視しても構わないと思いますが、
数十万円、数百万円となってくると、問題です。
実際、運用商品のコストが異なると
以下のような大幅なコスト増につながることを
過去こちらの記事で指摘しました。
https://xn--vck0b9h632vz0vb.jp/?p=1454
記事から、コスト増の比較結果を抜粋すると
例えば月額68,000円拠出しながら、
30年間、年利5%で複利運用する条件で、
信託報酬がそれぞれ0.1%、0.2%、0.3%
余計にかかる場合のコストを試算すると
次のようになります。
信託報酬が平均的に0.3%の場合と0.1%の場合とで
約200万円以上の差となっており、全く無視できません。
信託報酬のような継続的にかかるコストの場合
それ自体が小さな差であっても、期間が長くなると
トータルコストが大きくなってしまう、ということですね。
これと顧客の囲い込みがどう関係しているかというと、
一旦囲い込まれてしまうと金融機関側が競争せず、
「高コストのまま」運用を余儀なくされてしまう可能性が
出てくるからです。
だから、金融機関による顧客の囲い込みは
気をつけないといけません。
ところで、日経の記事では関連する用語が3つ出てきます。
記事のタイトルには「運用会社を見直す」、とあるので
素直に読めば「運用会社」を5年毎に見直す
となります。
ただ、記事の中身を読むと運用会社を見直すのか、
運営管理機関を見直すのか、曖昧な部分があるので
法律の方をチェックしてみました。
これによれば、
「運営管理機関の委託に係る事業主の努力義務」の中で、
ちなみになんですが、「事業主の努力義務」とありますので
個人事業主や主婦(主夫)が加入する個人型DCの場合は
個々人が責任をもって、運営管理機関を選択、評価し
必要に応じて変更することになります。
これはかなり面倒な作業ですが、上記の長期コストを考えると、
必要なら変更もいとわない、という方針がいいですね。
確定拠出年金ではありませんが、NISA(少額投資非課税制度)にも
職域NISAというような、金融機関に囲い込まれる恐れがある
場合があります。
こちらも確定拠出年金と同様のリスクがありますので、
今後NISAを恒久制度としていくならば
こちらも定期的に評価、変更していく努力を
企業側に求める必要はあろうかと思います。
職域NISAの同様のリスクについては
過去こちらの記事に書きましたので
興味があればご覧ください。
https://xn--vck0b9h632vz0vb.jp/?p=1132
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