株式贈与を実践してみて分かったこと。

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こんにちは。林FP事務所の林です。

誰かにあなたの株式資産を贈与する場合、株を売って現金を贈与するのが一般的ですが、株式をそのまま贈与する「株式贈与」という方法もあります。

今回、試しにやってみましたのでその顛末と株式贈与のメリット・デメリットをまとめてみました。

なおこの記事で扱うのは上場株式の贈与であり未上場の株式を贈与する場合はルールが異なりますので注意してください。

この記事の概要はこちらの通りです

  • 株式贈与のメリット(税メリット)とデメリットが分かります。メリットが多く、デメリットは少ないです。
  • 株主優待メリットを享受する等のために、家族に株式贈与するのはお勧めの方法です
  • 実際に株式贈与手続きをしてみて、わかったことがあります
  • 株式贈与は相続対策などへの応用もできるので、知っておいて損はないです


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株式贈与を選択する理由

株式贈与にはいくつかのメリットがあり、メリットを享受できる場合、株式贈与を選択するのがお勧めです。

証券会社から書類を取り寄せて書くだけで、誰でも簡単に贈与ができます。僕も今回株主優待を増やすために家族へ株式贈与しました。


なお、NISA口座にある株式は贈与には使えませんので、注意しましょう。

NISAを贈与対策として活用するのは可能か?



株式贈与のメリット、デメリットを以下にまとめてみます。


株式贈与のメリット

株式贈与には以下のようなメリットがあります。

以下、株式を贈る側を贈与者、株式を受け取る側を受贈者と言います。

  • 株式を直接贈与するので売買手数料を回避できる。
  • 売却しないので、売却益にかかる課税を繰り延べできる。受贈者は贈与者の取得価額を引き継ぎます。
  • 贈与する株式に含み損があれば、受贈者の方で損益相殺に使うことができる。
  • 贈与額として有利な額(少ない金額)を選べる。

3番目の「贈与額として有利な額」は
  • 贈与した日の終値
  • 贈与した月の終値の平均
  • 贈与した前月の終値の平均
  • 贈与した前々月の終値の平均
のいずれかから、最も低い株価を選択することで実現できます。

値動きの荒い株式であればこの四つの額が大きく異なることになりますので贈与を有利に進めることができるでしょう。

また株式贈与のメリットとは直接関係ありませんが、例えば家族全体で株主優待を増やしたい場合、一人で株を買い増すのではなく複数人数で少数(たいていは単位株)株式を持った方が株主優待上、お得になることが多いです。

今回僕が株式贈与した目的もこれです。

現金を渡して株を買ってもらえばそれでいいのですが、簡単な書類を書くだけで贈与できるので、受贈者が株式を買う必要がありません。気が付いたら特定口座に贈与された株式が現れているので、株式売買に疎い家族に株を持ってもらう方法としてもお勧めですね。

ちなみに現金を渡した時点で贈与にあたるのでそこは注意してください。

なお SBI 証券に贈与手続きの書類を送付しましたが贈与に関して別途手数料がかかるようなことはありませんでした。


相続時精算課税制度との組み合わせ
ちょっと込み入った話になりますが相続税対策として「相続時精算課税制度」を検討される場合があるかもしれません。

相続時精算課税制度は2,500万円までの生前贈与に対して贈与税がかからず、相続時に一括して相続分として課税される仕組みになります。

結局課税されるのならあまりメリットはないと思われるかもしれませんが将来大きく値上がりすることが予想される株式も贈与もしくは相続したいと考えているならこの制度を検討する価値はあります。というのも相続時精算課税制度では贈与した時点の額(贈与額)を相続分として計算するルールになっているからです。

もちろん多額でなければ贈与税の暦年課税控除(110万円)枠を使って、 毎年贈与することで節税効果を狙う方法もあります。


相続税対策にはいろいろなものがあり、これはあくまでも一例です。詳しくは税の専門家などにお問い合わせくださいね。

株式贈与のデメリット

株式贈与のデメリットは特に思いつかないのですが、強いて言えば書類を取り寄せたり書いたりするのが多少面倒、ということはあるかもしれません。

今回記入した書類はこれらです。
  • 贈与届(兼 移換依頼書及び委任状)
  • 相続税上場株式等(贈与)移換依頼書
  • 贈与契約書(贈与者と受贈者各1通)

書類送付から贈与完了まで1週間ぐらいかかりますので、今すぐ贈与したいというニーズには向きません。

あと本人確認のため(?)に贈与者、受贈者双方の印鑑登録証明書が必要になりますので、印鑑登録証明書2通分の発行手数料がかかります。


実際に株式贈与してみてわかったこと

基本的なルールは以上になりますが、今回実際に僕が株式贈与手続きしてみてわかったことや注意点についてまとめておきますね。

株式の一部を贈与する場合の注意点

今回手続きしてみて初めて知ったのですが株式の一部を贈与する場合には特別なルールがあるようです。

当該贈与により取得した上場株式等

当該居住者又は恒久的施設を有する非居住者が当該贈与により取得した上場株式等のうち同一銘柄の上場株式等は全て当該相続等口座から当該特定口座へ移管がされ、かつ、当該移管がされる上場株式等が当該相続等口座に係る上場株式等の一部である場合には、当該特定口座において当該移管がされる上場株式等と同一銘柄の上場株式等を有していないこと。
「租税特別措置法施行令第25条の10の2第14項第3号イ」より抜粋)


要は「贈与者側の株式の一部を贈与する場合は受贈者の方に同じ株式があってはならない」というルールなんだそうです。一部ではなく、一括贈与ならOK。

なんだか意味不明のへんてこりんな?ルールですが何らかの事情があるのでしょう。法律ですので従うしかありません。

贈与手続きを始める前に、確認しておいてください。

相手方の特定口座が開設されたなくて焦った

これは単純に僕のミスなんですが受贈者側に特定口座が開設されてなくって一旦書類が返送されてきたので焦りました。苦笑

贈与する場合は相手側に特定口座が必要になりますのできちんと確認しておきましょう。

僕が言うのもなんですが。笑


贈与者と受贈者との関係をヒアリングされた

SBI 証券から贈与完了のお知らせが届いた数日後に、電話で僕と受贈者との関係性をヒアリングされました。

昨今の特殊詐欺は非常に手口が巧妙ですので、このような電話がかかってきた時は慎重に対応せざるを得ません。

結局ヒアリングの妥当性やヒアリングした情報をどのように扱うかなど様々確認した上で(一応)回答したので15分ぐらいかかってしまいました。
(金融庁がどうとか、マネロン対策だとか言ってましたが、ヒアリングに法的根拠は薄く、曖昧でした。)

書類の不備ということであれば書類を返送してもらってもう一度書き直すということで問題なく対応できますが、今回の関係性のヒアリングについては贈与に関する法で定められたものではなく、証券会社側の自主的なものということです。

ですので、書類の不備ということでもないんです。

本来贈与は、贈与者と受贈者間の自由な契約で、贈与税が発生する場合の税務署などは別にして、その関係性について第三者にとやかく言われる筋合いのものではないでしょう。

もちろん犯罪性が疑われる贈与であれば、証券会社も関与する必要があるかもしれませんが、暦年贈与の控除範囲内の贈与で、しかも書面に残す(つまり証拠になりやすい)贈与手続きをしているのに、関係性まで確認する必要があるのかどうか疑問です。

そもそも犯罪目的であれば、そんな足の付きやすい方法は選択しないのではないでしょうか。

しかも電話口で回答するだけなので、実際の関係性を証明する書類も必要ありません。実際にマネロンを行う当事者ならいくらでも嘘をついてごまかせるので、なんの実効性も抑止効果もないということになります。

もしマネロン対策だというなら、現金振込など記録に残りにくい資金移動をもっと対策すべきでしょう。
(と突っ込んだら、銀行の対応は分からないとの回答でした…)

以上の考察から、僕の印象では、真面目に手続きする人の手間と不安をいたずらに増幅させるだけなのでは?と感じました。


証券会社が必要と判断した情報を収集するのは実務としてあり得るだろうということは理解できますが、情報が情報なだけにヒアリングするにしても今後は書面ヒアリングを希望したいです。

電話では、電話口の相手が本当に証券会社か確認する術がありませんので…

(ちなみに電話口で書面ヒアリングをお願いしたら、それはダメと言われてしまいました…)


株式贈与の実践報告まとめ

株式贈与にはメリットが多いので基本的にはお勧めです。

今回実際に株式贈与をやってみて、分かったこともたくさんありましたので経験してみるということは非常に大事ですね。

今回は株主優待のメリットを増加させるために株式贈与をしましたが、こういう練習をしておけば後々相続対策などで株式贈与をしたい場合などにすぐに取り組めるようになるでしょう。

(僕は相続対策というよりは仕事上経験値が必要だからという理由の方が大きいですが)



以上、株式贈与の実践報告でした!


ps.

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工学博士(阪大)、個人投資家。投資歴は20年近く。金融機関に属さず、保険・証券の販売に一切関与しない、完全独立のファイナンシャルプランナー(CFP®)です。アラフォー(?)、2児の父。

今後、日本では好むと好まざるとにかかわらず、どんどん自己責任が問われていくようになるでしょう。自助努力で資産形成していくこと、そしてその方法を中立な立場で伝えていくことが大切だと考え、独立して活動しています。

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